忍者ブログ
したいほうだい    フログがただ静かに朔太郎を読むブログ                 
| Admin | Write | Comment |
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

     第九章 詩の本質


 今や吾人ごじんは、始めて本書が標題する実の題目、詩とは何ぞや? の解説に這入はいってきた。詩とは何だろうか。形式についてではなし、内容について言われる詩とは何だろうか? 吾人はこれに対する解答を、どこか前に他の章で暗示したようにも思われるし、また未だしなかったようにも考えられる。とにかくいずれにせよ、この章に於て決定的な解答をしてしまおう。
 そもそも詩とは何だろうか。広い意味に於て、自然や人生の到るところに観念されてる、一種不思議な「詩」という言葉は何だろうか。吾人はあえてそれを不思議と言う。なぜならこの言葉は、常に多くの人々によって使用され、到るところに思惟しいされているにかかわらず、一も判然とした定義がなく、どこか正体が不明であり、とらえどころのないもやの中で、曖昧あいまい漠然としているからである。吾人はこの不思議を解明して、詩の本質する定義を確立せねばならないのだ。
 第一に解ってることは、この意味の詩が形式上の詩でなくして、詩という文芸が本質しているところの、普遍の本体上の精神、即ち「詩的精神」を指していることである。そこでこの問題を解決するため、あらゆる一般の場合について、人々が普通に考えている詩的精神、即ち所謂いわゆる「詩的」の何事たるかを調べてみよう。もし多数の場合について、それが観念されてる例証を見、すべてに共通する本質を取ってみれば、意外に造作なく、吾人は詩の定義に到達することができるであろう。但しこの場合に於ては、一方に詩的精神の反対のもの、即ち世人の言う「*散文的プロゼックのもの」について、おなじ思考を対照して行かねばならない。
PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[48] [47] [46] [45] [44] [43] [42] [41] [40] [39] [38]

Copyright c 詩態放題 [管理フログ]。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Material By 深黒 / Template by カキゴオリ☆
忍者ブログ [PR]