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 前に他の章に於て、吾人は表現に於ける主観主義と客観主義とを、二人の旅行家の態度にたとえた。即ち前者は「目的のための旅行家」で、後者は「旅行のための旅行家」であると言った。今、詩と小説との観照的態度に於て、この比喩ひゆは最もよく適当している。詩は主観上に於ける欲情や生活感やを訴えるべく、目的に向って一直線に表現する。然るに小説はこれとちがい、人間生活に於ける社会相を観察することそれ自身に興味をもっている。小説家にとってみれば、主観に於ける人生観やイデヤやは、表現の直接の目的になっていない。表現の直接の目的は、社会の実情を観照し、人情をきわめ、風俗を知り、旅行の到るところに観察を見出みいだすことに存している。故に小説することは、人生に於ける一の「勉強」であり、また真の「仕事」である。
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